しっとりと雨に濡れた夷毘沙門が灯りに照らされ、雄々しくも優美な佇まいを見せています。ここは、南信州の静かな山あいに建つ「石苔亭いしだ」。門をくぐり、木々の緑が一段と濃さを増した日本庭園を抜けると、目の前に現れるのは能舞台。この地に伝わる伝統芸能や日本建築の粋にふれることができる荘厳な空間です。千坪の敷地には、この総檜造りの能舞台をはじめ、茅葺きの茶室や贅を尽くした客室など、総平屋建て数寄屋造りの建物がゆったりと配されています。晴れの日の堂々たる佇まいも圧巻ですが、雨音さえも風情のひとつとなる梅雨の季節こそ訪れたいと思わせる名旅館です。
客室はわずか17室。2022年3月中旬に新しくできた客室は、半露天風呂付きの2室。30畳の広々とした空間は仕切りや段差が少なく、どこに居ても新緑の庭を眺められる開放的な間取り。広めに設けられたデッキには石造りの露天風呂が設けられ、信州の風を感じながら美肌の湯として名高い昼神温泉に浸かれます。
能舞台では南信州の伝統芸能を毎夜開催。演者が日替わりで登場し、夢うつつのひとときを演出します。夕食後はほかにも、隠し扉から入るシアタールームで映画を観たり、地元産の天然石を組み上げた洞窟風岩風呂に浸かったり。旅館の目の前を流れる阿智川沿いで、「日本一美しい星空」で知られる阿智村の空を仰ぎながら湯涼みするのも一興です。
※画像はイメージです。
いくつものスパイスを加えた生地に信州牛を包み込み、うま味を閉じ込めてじっくりと焼きあげます。ほのかな塩のうま味が肉本来の甘さを引き立て、素材の良さが味わえる人気の逸品です。