大正13年、精肉店として創業した「銀座 吉澤」。日本最大の食肉マーケットである東京食肉市場で、高品質な黒毛和牛を扱う仲卸として高い評価と信頼を得続けています。100周年を迎えた昨年、銘柄牛をさまざまな手法でお楽しみいただけるよう、1階は精肉店、2階は肉処、3階は肉割烹として移転オープン。今回はその3階、最高級の和牛でもてなす肉割烹の逸品をご紹介します。
　吉澤で取り扱う肉は、松阪牛や近江牛、田村牛といった銘柄牛。肉質･脂質はもちろん、血統･飼育法まで細かく吟味し、その中から納得のいく雌牛だけを一頭まるごと買い付けています。今回ご紹介するのは、吉澤だからこそ味わえる「黒毛和牛ヒレ しゃぶしゃぶ」。しゃぶしゃぶと言っても5㎜ほどもあるヒレ肉を、和牛骨から丁寧に取ったコンソメスープに料理人がゆっくりとくぐらせ、ほんのりと赤身が残る絶妙なタイミングで供される一品です。
　黄金色のスープから肉のコクがほんのりと立ちのぼり、ロゼ色のヒレは見るからにしっとりとしています。厚みはあるものの簡単に噛み切れるほど柔らかく、ヒレならではの旨みと慎ましやかな脂の甘みを湛えています。この上質な脂こそ、吉澤が希少な雌牛にこだわる理由。融点が低く、人肌で溶けるほど滑らかで繊細な口あたりをもたらします。滋味深い牛骨スープと和牛のやさしい後味。100余年、和牛と向き合ってきた吉澤でぜひその真価をご堪能ください。