鰻といえばうな重、鰻といえば夏。そんな固定概念を覆す鰻料理店が、ここ麻布十番にあります。その名も「うなぎ 時任」。日本の鰻文化の枠組みを超えた、新たなアプローチで攻める鰻料理が話題を呼んでいます。
店主の時任恵司氏は、200年以上続く鰻の名店で15年間修業し、さらに鰻料理の幅を広げるべくパリで研鑽を積んだ鰻ひと筋の料理人。鰻のすべてを知り尽くした時任氏だからこそなせる料理は、鰻料理の核となる伝統的な部分を守りながら、フランス料理の技術を融合した割烹スタイル。「鰻とフォアグラの赤ワインソース」や「鰻バーガー」など柔軟な発想によって生み出されたメニューが魅力ですが、必ず味わいたいのが「うなぎの塩焼き(白焼き)」。時任氏の手にかかれば、定番の塩焼きもひと味違う料理へと変化するのです。
鰻はその時に最も上質なものを厳選して使用。仕込みも焼き方も時任氏独自の方法で、お客様の目の前で鰻を捌き、串打ちし、炭火で丁寧に焼きあげます。表面はパリッと香ばしく、中はしっとり。一口食べれば、鰻の奥行きの深さと、幅の広さに気付かされます。お好みで塩・わさび・柚子胡椒・梅肉など薬味を付けて。梅肉は鰻との食べ合わせが悪いといわれていますが、時任流でほどよい酸味が鰻の脂とマッチしてさっぱりと食べられます。鰻の味を多面的に追求し、新しい可能性に挑む時任氏。これからどんな扉を開いてくれるのか目が離せません。
創業以来200年以上続く鰻の名店「麻布野田岩」で15年間修行。その後、各店の料理長を務め、鰻屋という日本の文化の枠を越えてフランスを中心にヨーロッパのさまざまな食や文化を学ぶため、パリへ渡航。2018年6月、「うなぎ 時任」をオープン。