言わずと知れた日本料理の名料亭「𠮷兆」。料理界初の文化功労者となった湯木貞一氏が、昭和5年、大阪の地に創業した老舗です。今回は政財界をはじめ、多くの著名人が訪れる「銀座 𠮷兆」の旬の一品をご紹介。湯木氏が込めたおもてなしの心をしっかりと受け継ぐ至高の一軒です。
毎年今かいまかと心待ちにしている常連客が多い「桜海老釜御飯」。駿河湾でしか獲れない桜海老の漁は今がまっただ中で、「銀座 𠮷兆」では4月下旬からひと月ほどこの旬のご馳走を献立に加えます。齋藤料理長がこだわるのは、2種類の桜海老。鮮度の高い桜海老を釜揚げしたものと、乾燥させた桜海老を素揚げしたものを使います。釜に新潟産コシヒカリ、梅干しや酒、そして昆布出汁を加えてふっくらと炊きあげます。熟練の技で火力や時間を調節し、蒸らす際に釜揚げ桜海老を、その後に素揚げ桜海老と酢蓮根を加え、釜のままお客様のもとへ。
蓋を開けると、ふわっと芳ばしい香り。桜海老の薄紅色が美しく、初夏の幸せを感じます。桜海老はプリっとした食感で、甘みとコクがたまりません。つやつやのご飯、芳ばしい素揚げ桜海老、梅干しの清涼感と蓮根のシャキシャキ感。化学調味料を一切使用していない、やさしい味わいがしみじみと美味しく、日本の自然に感謝の気持ちが湧きあがります。
日本料理一筋32年、「銀座 𠮷兆」オープン時から料理長を務める。季節やお客様の好みに合わせて、極上の一品をお届けします。