福岡随一の繁華街・中洲。その目抜き通りから少し外れたところに「河太郎 中洲本店」はあります。1961年創業、イカ活造り発祥の店として福岡では知らない人はいないほど名の通った活魚専門料理店です。間口の広い堂々たる店構えが、いかにも老舗といった風格を感じさせます。
暖簾をくぐると目に飛び込むのは、イカの群れが悠然と泳ぎ回る大きないけす。店内はいけすを囲むようにカウンター席とテーブル席が設けられ、潮の香り漂う雰囲気に期待が高まります。今回ご紹介するのは、7月のおまかせ特選会席で供される「太刀魚の雲丹添え」。玄界灘で獲れた旬の太刀魚は、身質が柔らかく適度に脂がのりながらも淡泊な味わい。素材の味を活かすために、絶妙な焼き加減でふっくらと塩焼きにします。その上に重ねられた雲丹は国産のものを使用。なめらかな舌ざわりで深い甘みが特長です。
とうもろこし、太刀魚、雲丹、美しく三層に重ねられた一品。太刀魚の上質な脂の甘みと、雲丹の濃厚なうま味が混ざり合います。そこへ絶妙な軽やかさで味をまとめるのは、瑞々しいとうもろこしと蓼(たで)の葉でつくったソース。ほんのり甘い余韻に、夏らしい爽やかさが口の中に広がります。
▲旬の素材をお楽しみいただける月替わりの会席料理。元祖イカ活造りはすべての会席料理に盛り込まれています。
▲店内3ヵ所にある大型生簀。カウンター席・テーブル席ではゆらゆらと泳ぐイカを眺めながら食事を楽しめます。
複数の和食料理店で経験を重ね、現在は「河太郎 中州本店」で料理長を務める。出汁にこだわり、味わいの深さを意識して料理を作っています。一目見て美味しそうと感じていただけるよう、彩りにも気を遣っています。