北京に本拠を置く宮廷料理の店「REIKASAI GINZA」。清の時代、皇帝と西太后の食を預かる要職に就いていた厲(レイ)家が、当時のレシピを再現したのがルーツ。宮廷料理は健康に寄与することが最優先され、かつ美味も要求されたといいます。食品添加物は一切使わず、医食同源の考えに基づき、旬にこだわった食材の持ち味と栄養素を活かした長寿食です。
今回ご紹介するのは、コース料理のメインとして提供している「オマールエビの甘酢炒め 宮廷スタイル」。絶妙な火加減で香ばしく揚げたオマール海老を、山葱やニンニクなどを加えた油ベースのソースと少量の酢で仕上げた逸品です。
美しい朱色のオマール海老がテーブルに届きます。ふわりと広がる甘酢やニンニクの香り。大ぶりの身はプリッとした弾力があり、濃厚な甘みと殻から取れる出汁の旨みが、さすが高級食材という美味しさ。発酵させた唐辛子のフルーティーな香りと、ほのかな酸味と甘味に、辛味と塩味もあり、五味が調和された奥深い味わいに組み立てられています。
美食家として知られる西太后は平均寿命が40歳ほどだった当時にあり、74歳まで元気に生きました。かつて皇帝の食卓に上った“本物の美食”をぜひご堪能ください。
▲中国清朝の宮廷料理。清の時代にオマール海老はありませんでしたが、現代の食材を当時のレシピで再現しています。
▲中国桂林の山々をイメージした翡翠色のソファに、霧を思わせるオーガンジーのカーテンで仕切られた空間。
皇帝と西太后の料理責任者であった初代・厲子嘉氏を曽祖父に持つ、四代目厲愛茵氏。元医師でもあり、理化学的な立場から当時のレシピを再分析し、その健康効果を医学的な見地からも検証しているという。